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【乱破連弾 読切】のネタバレ。忍者とピアニスト?

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乱破連弾(らっぱれんだん)

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2019年第6・7合併号、週刊少年ジャンプで読切作品「乱破連弾(らっぱれんだん)」のネタバレです。

ネタバレ

 

闇夜に轟くは・・・

 

夜道を走る車の隣で、反射鏡に何かが当たる音。

月明かりに浮かぶ4つの人影が凄いスピードで一人の男を追っていた。

その中の一人、朝霧が叫ぶ。

「何故だ、十兵衛っ!!!里の狂気とまで恐れられたお前が・・・っ」

肩越しに火の付いた玉を投げつける十兵衛。

カッと光った瞬間、4人の目の前で破裂した玉から鼓膜を引き裂くような音が鳴り響いた。

思わず耳をふさぎ、目を離したすきに、十兵衛の姿を見失い、周りを見回す追手達。

その時、建物の屋上から見下ろす十兵衛。

「ここじゃ、ウスノロ共」

振り向く追手達に、「そなたらは、つまらん」と十兵衛が言うと、朝霧が言った。

「忍びの生き方を捨てるというのかっ!あれほど厳しい修業に耐えぬいて、身に付けた技を捨ててお前は、一体何になるというのだっ!!!」

「ピアニスト」と答える十兵衛。

「は?」唖然とする追手達。

「拙者、世界一のピアニストになるでござる」

と、宣言する十兵衛だった。

 

桜の花びらの舞う季節。

 

”分不相応という言葉がある”

 

張り出されたクラス表の前で、一人の男子生徒が音楽科9組の『伊吹 綾』の名前を見つめていた。

そこへ「音無君、何組だった?」と笑顔で肩を叩いてきた少女。

音無が8組だった事を「惜しい」と語る彼女は”音楽科”、音無は”普通科”だった。

「嫌味か?普通科だぞ、オレ。音楽科様は別棟だろ」と素っ気ない態度の音無。

通り過ぎる生徒達が彼女を見て振り返る。

 

”分不相応”

オレにそう思わせた張本人・・・

 

伊吹 綾

彼女はピアニストだ。

 

8歳でジュニアコンクール優勝。

12歳でオーケストラと共演。

中学を出る頃にはアルバムを4枚出していた。

同じピアノ教室に通い、彼女の天才ぶりを間近で見た音無はこう思った。

『音楽の神様は、平等ではない・・・』

 

息をするようにピアノを奏でる彼女のかたわらで、音無は、人前で弾く緊張と恐怖に耐えきれずピアノをやめたのだった。

 

”結局、人は才能に見合った努力でしか報われないのだ”

 

「ちょっと、離して下さいっ」

綾の声に、音無が振り向くと、ファンだという男子生徒4人が、綾を囲んで無理やり写真を撮っていた。

助けに入ろうか迷う音無の横から、「あ、あの」と声をかけたのは・・・

十兵衛だった。

「刺しましょうか?」

と、はにかみながら言う、見るからに怪しい十兵衛に、男子生徒も戸惑う。

と次の瞬間、男子生徒のスマホにサックリと刺さる刀。

固まる男子生徒だったが、すぐに刀の先におでんみたいに刺さった自分のスマホを見て騒ぎ出す。

状況が把握できず、呆然とする綾と音無。

我に返った他の男子生徒達が襲いかかった。

その瞬間、十兵衛はクルクルと男子生徒達の間をかいくぐり、

”忍法、霞桜!!!!”

「案ずるな・・・峰打ちではない。まとめて処分じゃ」

と、地面に下ろした刀の先には、さらに3台のスマホが均一に刺さっていた。

 

”ひでえ・・・っ!!”

と、引く音無。

顔面蒼白になる男子生徒達に、盗撮していたのだから自業自得だと告げる十兵衛の言葉に驚く綾と音無。

 

十兵衛が刀からスマホを引き抜き、男子生徒達に返すと、「お父さんにいいつけてやるっ」と捨て台詞を残して走り去った。

 

「・・・伊吹、綾殿でござるな」

十兵衛に名前を呼ばれ、驚く綾。その足元に土下座をすると、

「マジ隠れの里、上忍。信楽十兵衛と申します!!!弟子にして下され!!!」

と叫ぶ十兵衛。

一瞬固まる綾と音無。

我に返り、「ええええっっ!?」と叫ぶ音無の隣で、

「え・・・、いやです」

と冷静に断る綾。

その答えに、「ええええっっ!?」と叫ぶ十兵衛。

綾は忍法知らないし、と言うと、慌てて忍法ではなくピアノだと説明する十兵衛だったが、

「それもムリ。」と再び冷たく断る綾。

理由を聞くと、面倒だし、ジャンプ読みたいし、と言う。

それでもしつこく頼みこむ十兵衛に、綾は、自分にピアノを教えてくれた師匠なら紹介すると提案した。

振り向く綾と十兵衛。

それは・・・音無だった。

 

「師匠の音無奏君。15歳です。趣味は螺旋丸」と紹介した。

「しねぇしっ!」と突っ込む音無だったが、周りで聞いていた生徒達の反応を見て、黙る音無。

そんな音無をキラキラと羨望の眼差しで見つめる十兵衛に、音無は本気で引いていた。

”分不相応、通りこした奴来た”

 

その頃、3年のホープである坂上が校長の前でピアノの演奏をしていた。

自信ありげに紹介する担任教師だったが、校長は綾の到着を心待ちにしていた。

そんな校長の様子を見て、次の定期演奏会で綾をメッタメタにしてやろうと目論んでいた。

 

「こっ・・・これは・・・っ!!」

グランドピアノに感動し、興奮する十兵衛。

十兵衛を振り切れず家まで連れ来てしまった音無だった。

とりあえず好きな曲を弾いてみるように言うと、十兵衛は綾の得意のリストを弾くと言う。

リストとは「ピアノの魔術師」と称され、超絶技巧の難曲をいくつも作ったイケメン。

 

”もしかしてこいつ、相当な腕なのか・・・?」

 

「いざ・・・っ!!!」

だんっ!!!

”音がでかい”

音無はあまりの迫力に驚いた。

十兵衛が弾きだしたのは『超絶技巧練習曲6番』。常人には演奏不可能とまで言われた6番『幻影』はそのあまりの激しさ故、リスト本人も弾く度に弦が切れたなんて逸話が残る程だけど・・・と考えていた音無の目の前のピアノは、無惨に弦が切れまくっていた。

 

「どんな力で弾いてんだよっ!ふざけるなよ、人んちのピアノ・・・っ!!!」と怒る音無に、「師匠、どういう訳か音が出なくなり申した」と真顔の十兵衛。

「どういう訳だろねっ!!」と、突っ込む音無。

 

「ピアノを壊した?」

ジャンプを読むのをやめて顔を上げる綾。

ピアノを壊して以降、音無が口をきいてくれなくなった為、やはり切腹しか・・・と土下座して相談する十兵衛。

土下座も切腹も却下した綾は、怒った音無の事を考えて微笑むと、十兵衛に一緒に連弾しようと誘う。

 

変なのがピアノを弾いているとざわつく校内。

ピアノ室の中では分身して弾く十兵衛に、音無が楽譜を投げつけ、更にまきびしを舞いて叱られる十兵衛の姿が。

何の練習なのかと不思議に思う生徒達。

 

連弾とは二人以上で一緒に弾くことだと十兵衛に教える音無。

綾が練習室を借りたというから来たが、綾は不在だし、その上指定曲はドラゴンボールの曲じゃねーかと楽譜を投げ捨てる音無だった。

それでも、3人で弾くとどうなるのかとワクワクしている十兵衛を見て、音無はなぜピアノなのか聞く。

忍者の方が百倍すごいし、里を抜け出してきた抜け忍は命を狙われたりするんじゃないかと聞くと、十兵衛は真顔で答えた。

「忍法は・・・簡単すぎてつまらんのでござる」

呆気にとられた音無をよそに更に続ける十兵衛。

十兵衛の里は音を使った忍術を得意としていて、楽器を使った忍術も数多かったものの、弾いていて全くつまらなかった。そんな時、綾のピアノを『忍チューブ』で見て、たった5分で十兵衛の世界を変えてしまう圧倒的な音の力だった。

「彼女のピアノには忍術を越えた何かがあるのです」

 

そこへ演奏の日取りが決まったと報告にきた綾。

文化祭ででもやるのかと驚いた音無だったが、実際はそれ以上のガチのコンクールだった。

 

学校内でも、綾の師匠と忍者がコンクールに出場すると噂になっていた。

プレッシャーに耐えきれず、ピアノはやめたから普通科に来たのに、と頭を抱える音無。

「真っ白になるんだ・・・ステージに立つだけで・・・。何度コンクールに出ても実力なんて出せた事ない・・・。けどそれも含めてオレの」と語る音無の頬を、いきなり殴り飛ばす十兵衛。

「今!?」と凄い勢いで転がっていく音無。

鼻血を出しながら頬をおさえ、「バトルマンガみたいにぶっとんだよね、今っ!?」と突っ込む音無を無視し、精神を鍛えればいいと言う十兵衛。

「決めましたぞ、師匠・・・!!拙者、ピアノの代わりに忍びの技を伝授いたします」と決心した。

いよいよコンクール当日。

綾達の番になり、歓声が上がる。

綾目当てのマスコミや、生徒達、綾の師と噂される音無の腕前を見てやろうと躍起になる坂上の担任教師。

そこへ、綾の後ろから音無と十兵衛が現れた。

 

サングラスと黒いマスクをし、忍術を唱えながら。

会場全体が、

「何・・・!?」

 

ざわつく会場に動揺する音無だったが、十兵衛から教わった『九字の印』という精神統一の方法を思い出していた。意味は「兵に臨んで戦う者は、皆陣列ねて前にあり」。つまり戦では常に先陣に立つという奮起の言葉だった。

そして、マスクにも特殊なお香が焚きこめられていて、これらを合わせれば120%の力を発揮できるのであった。

 

九字の印を唱えた音無の目には、今まで真っ白だったステージの世界が、しっかりと見えていた。

おもむろにマスクとサングラスを外すと、野次を無視して弾き始めた。

 

ダンッ!!!

弾き出した途端、引き込まれる観客達。

技術力も高いが、リスト風の表現力にみんなが驚く。

そして、何の曲だったかと考えた。

”どこかで聞いたような・・・”

”どこだっけ?”

 

そして、カメラマンが言った。

「ハハッ・・・これ、ドラゴンボールっスよね?アガる」

”!!!?”

驚愕する観客達。

坂上の担任教師は、「神聖な音楽科でアニメの曲など」と憤るが、綾の演奏が加わった瞬間、息をのむ。

綾の演奏は圧倒的で、美しいタッチだった。

坂上は主導権を握っているのはむしろ音無だと思った。完璧なユニゾン。徹底的に合わせる綾の技術に観客達は感服した。

 

音無は綾のアレンジした楽譜を弾きこなすだけで精一杯だったが、軽々と弾く綾を見ると、

”でも負けねぇっっ!!!こいっ!!”

と奮起し、ついに十兵衛が加わった。

 

『3人6手連弾!!!!』

 

立ったままで弾く十兵衛の足踏みは、まるで和太鼓のように響き、曲芸のようでクラシックでもなんでもないと分かっていたが、何故だ・・・

 

『ドキドキするのは!!!!』

 

そして弾き終えた音無達に向かい、観客達からは盛大な拍手と歓声が響いた。

驚く音無に、

「音無君、おかえり」と微笑む綾。

「また苦悩の日々だよ・・・」と微笑み返す音無。

それを見守る十兵衛。

 

結局、音無達はランク外となった。(当然だ)

 

「なる。世界一のピアニストに!!」

と街中を飛びまわる十兵衛を見つけた朝霧だったが、「おのれ十兵衛」と言いつつ、トランペットを弾きたくてうずうずしていた。

 

「師匠ーっ!」と、建物を飛び越えて体育の授業中の音無の元へとやって来た十兵衛。

「綾殿がまた連弾用の楽譜を書いて下さいましたぞっ!!」と嬉しそうに見せると、受け取った音無はパラパラとめくり、

「ナルトのエンディング曲じゃねぇかっっ!!」と楽譜を投げつけるのだった。

 

”分不相応という言葉がある”

”身分や資質が不釣り合い・・・そんな意味だ”

”燃える言葉だ”

 

感想

忍者とピアニストの組み合わせに、どんなお話なのかと戸惑いましたが、読んでみたらとっても面白かったです。

挫折した音無が見事に復活するのも良かったです。実際に演奏を聴いてみたくなりました。

クールな綾と、とぼけた十兵衛に突っ込む音無。それぞれがいい味を出していたと思います。

 

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